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● 鈴木大介ギターエッセイ パート65(2006年3月16日号)

祝 芸術選奨文部科学大臣新人賞 受賞!!
ほんとにほんとにおめでとうございます。

 自分の生き方に、ひとつの区切りをつけてもらえた時、ことにそれが思いがけずやってくる自分へのご褒美であったりすると、それまで人生に起きたことを、ようやく、肯定できるようになります。

 

 どうして、ようやく、なのか。

 

 それはここに来るまでに、信じたくないような悲しい出来事や、つらい別れや、思い出すだけで自分を消しゴムで消してしまいたくなるような失敗や、挫折や、自分で押さえ込むことのできなかった過剰な自意識や、そういういろいろなものと向き合い、時に反芻することで、自分のことをあきらめそうになる、誘惑と闘いながら前に進んできたからだと思います。

 

 芸術選奨文部科学大臣新人賞をいただいて、はじめに思い出し、新聞発表までの間、じっと心の底に留まり、今でも消えないみなさんの顔があります。最初に、僕のことを応援してくださっているみなさんへの心からの感謝の気持ち。

 

それから思い浮かぶのは、狼少年を信じて愛するみたいに、つらい時に僕の味方になってくださった人たち。生意気でわがままな僕に、「俺はお前の味方だから」と言ってくれた先輩、ひとりになりそうな時に、勇気づけてくれた人たち、人生の貴重な時間を、僕のために犠牲にして分け与えてくれた友達、強い生き方と信念を見せてくれることで、僕に勇気をくれた人たち、そしてそういうなかで、志を半ばにして天国に召された友人たち。

 

みんながいることで、ひとりではよろめいてしまう自分が、なんとか立っていられたと思います。誰ひとりいなくても、今の僕にはなっていないと思います。

 

ありがとう。

 

これからは、みんなにも、勇気をわけてあげられるような自分になりたいです。そのために、今日から、こころざしを新たに、精進してゆきたいと思います。