● 鈴木大介ギターエッセイ パート56(2005年2月23日号)
2月18日NHKスタジオパーク、ご覧になりましたか?とてもよかったとの反響を多く頂きました。 Paul Stuart のシャツがとてもよく似合っていましたね!春に向けてますます忙しくなりそうな大介さんです。 |
スタパDEライヴ 小室 等さんと
2月はほんとにあっという間ですね。ということでいよいよ迫って参りました、葛飾シンフォニーヒルズでの「オール・バリオス・リサイタル」。バリオスの作品集を3枚も出しておきながら、なんと東京ではこれが初めてです。バリオスの作品は、持久力も瞬発力も、他の作曲家以上に必要なので、なかなかチャンスも自信も巡ってこない感じだったのですが、万を持して挑戦です。今年の冬は、2000作の今井さんの松のギターがとてもよく鳴るようになり、テレビでも使ったのですが、その密度のパキっとつまった音を是非聴きにいらしてください。
1885年生まれ(ということは今年で生誕120年ですね)アグスティン・バリオス・マンゴレは、パラグアイに生まれたギターの詩人です。その作風は多彩で、敬愛したバッハのようなバロック風の作品、ショパンやクライスラーに通じるサロン風の美しい小品、そしてパラグアイやブラジルなど、中南米の風土や民俗を色濃く反映した作品など、一晩の演奏会をすべてバリオスの作品にしても、一人の作曲家が書いたものとは思えないくらいです。
ピアノには、ピアノで弾いてこそ、という作曲家が何人もいます。ショパン、シューマン、リスト、ラフマニノフ、スクリャービン、etc..それに比べて、ギターの作曲家で、ほんとうにギターの素晴らしさをしみじみ感じさせてくれる作曲家は、そう多くはありません。バリオス以外では、ポンセくらいでしょうか。ヴィラ=ロボス、カステルヌオーヴォ=テデスコやタンスマン、トローバやトゥリーナは、彼らの作品のなかでギターのものだけが突出して良質、という訳ではなく、他の分野にもいい曲があります。逆に言うと、それだけギター的な思考によって書かれているとは言いがたい部分がたくさん含まれるのです。
そういう意味では、バリオスは、まさに「ギターの詩人」だし、「ギターのショパン」かもしれません。「オール・バリオス・プログラム」は、練習していても、和声の斬新さに心奪われ、メロディーの歌いやすさと表現力に驚かされます。それに溺れることなく、バリオスの魅力をみなさんにそのまま伝えられたら、とても嬉しいです。
今のところ予定されるプログラムは
昔のメダル
メヌエットロ長調
フリア・フロリダ(舟歌)
ワルツ第3番 第4番
追憶のショーロ
告白のロマンサ
前奏曲ト短調
森に夢見る
春のワルツ
ワルツ「君の心のほとりに」
前奏曲ハ短調
大聖堂
情熱のマズルカ
マシーへ
アイレ・デ・サンバ
パラグアイ舞曲第1番
みたいになっています。お楽しみに。
さて、その後大阪に行ってまたまた「アランフェス」弾きます。この間、群響さんと矢崎彦太郎先生で「アランフェス」やったとき、リハのホールのすぐ近くでなんと香津美さんと古部君がデュオ・ライヴをやっていたので、誘われてどうしても断れず、と人のせいにしながらかなり率先してアンコールに乱入してしまいました。おかげで前の晩から翌日のマチネまでテンション上がりっ放し。。
お馴染みトリオ 古部さん、香津美さんと
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7月17日 更新
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